過去の受賞作品

第8回短編映画コンクール(2009)


グランプリ
『落ち葉掃きの人』 / 宮島由布子(東京都) / 6'30"
『落ち葉掃きの人』 【作品解説】
家の外に出たことがない黒猫タマは、ある日、窓外でひらりひらりと落ちる落ち葉に興味を持ち外の世界へと飛び出します。落ち葉を辿ると聞こえてくる箒の音。タマは公園で落ち葉掃きの老人と出会い、夕日が赤く染まる瞬間を初めて見ます。
ある秋の、ある昼下がりの黒猫のタマのなんでもない日常をコマ撮りアニメーションで丁寧に描いたお話です。日本大学芸術学部映画学科撮影コースの平成20年度卒業制作で制作期間は2年間。16mmフィルムでCG、合成は一切使用せず昔ながらの手法を研究・実験し試行錯誤しながら制作しました。人の手にしか生み出すことのできない、温かみのある映像に仕上がったと思います。CG・デジタル化が進む現代ですが、これからも昔ながらの温もりある映画の原点を大切にしながら作品を作っていこうと考えております。
準グランプリ
『キミ/ハミング/コーヒー』 / 勝又 悠(神奈川県) / 19'04"
『キミ/ハミング/コーヒー』 【作品解説】
女子高校生のアズキと男子高校生の林。二人の関係は曖昧で微妙。友達以上恋人未満の域を行ったり来たりしている。アズキは林に想いをよせるが林はそのアズキの想いに「気がつかないフリ」をすることで、その関係は成立している。一歩踏み出したアズキとは対照的に林の反応はいつもの通り。そして夜が明けて二人は…。
入賞
『耳をぬぐえば』 / 室岡ヨシミコ(北海道) / 19'48"
『耳をぬぐえば』 【作品解説】
小西ミミ(14)は耳の中にアスペルギルスとカンジダという「伝染するカビ菌」を持った中学生。カビ菌治療のために通っていた耳鼻科の待合室で憧れの同級生、山口トム(14)と会い、長い長い待ち時間の暇潰しに「ヒマ潰しの方法を考えるゲーム」をして仲良くなる。しかし山口の病気はすぐに完治し二人はただの同級生に戻ってしまう。どうしても山口と一緒に居たいミミは「伝染するカビ菌」をうつして、山口を待ち合い室に戻ってこさせようと企み図書室で眠る山口の耳に自分の使用済みの綿棒を入れようとするが…。キュートでキラキラでちょっぴり間抜けな胸キュンラブストーリー。
『無人駅』 / 津野 愛(神奈川県) / 9'49"
『無人駅』 【作品解説】
この作品は最終電車を逃した男女が偶然に無人駅のホームで出会い、始発電車がくるまでの時間を共に過ごすと言ったお話です。男女は互いに名前も告げず別れていきますが二人にとってこの無人駅での出会いは特別なものとなります。人の記憶に残る景色を切り取りました。どうぞ御覧下さい。
入選
『うつぐみの色』 / 田野聖子(千葉県) / 20'00"
『うつぐみの色』 【作品解説】
シャッターで自ら周りの色を消してきたカメラマン志望の女性が最後のチャンスを懸けるために訪れたのはコンテストの素材に選んだ小さな南の島。そこで出会う島の時間と住民と触れ合いの時間の中で限界を決めていた彼女に変化が…。プロのカメラマン、義足のランナー、そして島の小学生やおばあ、おじい・・・
主演以外は演技初挑戦の出演者と共に沖縄の離島で撮影。島民の協力のもと時間を重ねた作品です。画面から溢れる嘘のない温かさを体感してもらえたら嬉しいです。
『お家(うち)へ帰ろう Blue Moon』 / 田中重幸(福岡県) / 19'56"
『お家(うち)へ帰ろう Blue Moon』 【作品解説】
孤独なチョーク絵をアスファルトの道に描く少女と風来坊の中年男の出会い。ふたりは落書きの絵の中で意気投合して楽しく遊ぶ。そして意外な結末。
これは大昔「松竹蒲田」が量産していた小市民映画に通じる小さな小さなコメディー映画です。芸人金谷ヒデユキのしがない男っぷりと生意気な7才の女の子チカ役の千野紫音の可愛さも見逃せない。Blue Moonとは英語で滅多に起きないことという意味です。さて7才の誕生日を迎えた チカに何が起こったのか・・・
『米粒の神様』 / 清水和貴(群馬県) / 5'47"
『米粒の神様』 【作品解説】
新婚ほやほや~のご夫婦。毎朝、奥さんはご主人の為にほっかほかのご飯を炊き自分にはこんがりパンを焼く。いつもの朝、いつもの食卓で、ご主人は結婚以来ずっと気になっていた或る事について切り出す。この些細な一言が二人の間にちょっとした諍いを巻き起こし…さてさて、このご夫婦、雨降って地固まるのか?
思えば大学に入学して映画を作り始め…もう10年とちょっと経ちますが、いまだにずっと同じ仲間で映画を作っています。この作品は、そんな仲間の結婚という人生の節目を祝う為に企画されました。或る一組の新人夫婦の為に生まれた、このとても短い映画がこの度幸運にも多くの方々に観て頂ける機会を頂きました。観て下さった方の心のどこかに残れる事を祈っております。
『渚の妖精たち』 / 木場明義(埼玉県) / 13'30"
『渚の妖精たち』 【作品解説】
3人のニューハーフが海を目指してドライブをするのだが、くだらない事でけんかしてばかり。しかも海に到着するなりすぐさまトラブルに首を突っ込んでしまい…。けんかする程仲がいい、そんな友情を描いたコメディ作品です。
『ネコ魔女のキポラ』 / 藤原智樹(東京都) / 19'59"
『ネコ魔女のキポラ』 【作品解説】
「魔法」と「科学」が共存するネコの世界。一流の魔法使いになる事を夢見るネコ魔女の「キポラ」の物語。
近年「命」を軽視した事件が多発していると強く感じています。今、改めて「命」の尊さを問う作品を作りたいと思い「ネコ魔女のキポラ」を制作致しました。
『バスティーユの黒い百合』 / 竹之内饗介(東京都) / 19'58"
『バスティーユの黒い百合』 【作品解説】
おちぶれた初老の男と派遣先をクビになったハイミスのOL。偶然出会った二人が公園のクズかごに捨てられていた一冊のコミック雑誌を奪い合うお話。そこに連載されている漫画を通して明らかになってゆく男の過去、そしてOLもまた・・


全国より57作品の応募がありました
第8回短編映画コンクール
審査委員長
小栗康平(映画監督)
特別審査委員
工藤雅典(映画監督)
鳥井邦男(映画監督)
椿原久平(映画監督)
いまおかしんじ(映画監督)
   


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