入選

『その男ら、職業オネェ!』 カツヲ
【 審査員長品評 】
職場である役割を一生懸命演じていなければならない者は、束の間の休憩にも、その仮面を取り外したいものだ。その典型としてここに選ばれたのが、二人組の職業オネェだ。演じると云って、自分たちとは逆の性を演じるのだから、これ程劇的なものはないはずだ。だが、そこで話されることといったら。こんな仕事に見切りをつけて(とは云わずとも)、音楽≂バンドか何かだろう、に戻っても金にならないし、一人は大学生の妹をかかえて、卒業までにはまだ二年はかかるという愚痴話。これはこれで悪くはないのだが、一編の作品に仕上げるには、何らかの逆転、飛躍が欲しいところだ。