過去の受賞作品

第6回短編映画コンクール(2007)


グランプリ
『お願い。誰か』/ 吉木敏博(岐阜県)/ 19'45"
【作品解説】
この作品は離婚をテーマに自分の気持ちをうまく表現できない親子の物語です。子供の気持ちが自分の気持ちや立場とは関係なく大人達の都合で離婚していく勝手さを少女の目線から少女の切なさとともに描いた作品です。
準グランプリ
該当なし
入賞
『屋上の夢』/ 藤橋 誠(埼玉県)/ 7'45"
【作品解説】
ある山奥の分校に通う小学六年生の女の子、美花がこの物語の主人公。ある日、「夢」について学校で発表することになる。同級生の雄基はお笑い芸人、多佳子は女優と自分の夢について各々雄弁に語る。そんな中、美花は俯き答えられずにいた。放課後、美花は用務員の戸部にそのことを話す。戸部はあることを思いつき美花とともに屋上へ上がる。そこで美花はある行動に出るのだった…。分校の子どもや大人たちのそれぞれの夢について描いた物語。
群馬県藤岡市にある実際の廃校を使用し、撮影を行いました。古びてしまった教室を綺麗にし、職員室を再現することによって、あたかも子どもたちがまた戻って来たかのような錯覚を撮影中感じました。物語の役柄と同じ現役の小学六年生(演技経験の無い一般の小学生です)が、元気いっぱい演じ、観て頂いた方々を温かな気持ちにさせてくれる、そんな映画ができたと思います。自分自身の小学生時代を回顧して頂きながらご覧頂ければと思います。
『春のユウウツ』/ 室井孝介(千葉県)/ 17'26"
【作品解説】
小学5年生の美和子が恋をしたのはお姉ちゃんの彼氏で中学生の神無月だった。美和子は神無月に近づこうと中学校に忍び込むのだが、その前に幾多の試練が立ちはだかり、なかなか神無月に想いを伝える事が出来ないでいた。はたしてお姉ちゃんを出し抜いて美和子の恋は実るのか。
入選
『SLAP』/ 岡元雄作(新潟県)/ 14'23"
【作品解説】
人付き合いが苦手で口が悪く暴力的な愛子。出版社で働いていたが訳があり蛍光灯工場でパートをすることになる。本当の自分は違うと思いながら機械的に仕事をこなす愛子。そしてついに出版社へ戻れる日がやってくるが……。
この作品のテーマは”本当の自分”です。主人公・愛子もそんな理想の自分が別にあると信じるが故に周りを見下してしまいます。以前は出版社に勤めていた愛子ですが、とある事情により蛍光灯工場でパートをする羽目になります。ここでの自分は本当の自分ではないと思うせいか周りとの距離を置くようになる。しかし、ある事を切っ掛けに”あるべき自分の姿”に気付くことになります。この作品では友人の大切さと頑固な女性がプライドを捨ててあるべき姿を見付ける様子を描いています。
『バラ色フリーウエィ』/ 古市勝久(東京都)/ 10'23"
【作品解説】
ある夏の昼下がり。覆面を被った銀行強盗2人組にカージャックされた中年男。夢を追う強盗と夢を失った中年男という対照的な3人。男たちは“夢の楽園”を目指して田んぼ道を爆走する。ひょんなことから出会ってしまった訳ありの三人。“人生をやり直すチャンスは意外なところに転がっている”
初監督作品です。「とにかくお客さんに楽しんでもらおう」とエンターテイメント性の高い娯楽作品を目指して制作しました。
『ひねくれ緑と星のパン』/ 吉田真也(群馬県)/ 17'54"
【作品解説】
小学校を舞台にした『カビパン事件』に巻き込まれた少女の物語です。大きな森に一人ぽつん。身に覚えの無い『カビパン』を自分のせいにされて途方に暮れる主人公ヒカルは、こっそりパンを森の奥に埋めに行く。しかし、そこには真犯人のミドリがいた。二人が出会った時運命が動き始める。緑豊かな田園風景を背景に子供たちの伸びやかな姿を描いた作品です。また、日常と非日常が交錯する世界をアニメーションなども取り入れ描きました。
『ヒーロー~僕にできること~』/ 伊藤竜二(茨城県)/ 20'00"
【作品解説】
実際の事件、池袋での立教大生殺害事件。百人以上の人が見ていたのに犯人は捕まっていない。触らぬ神に祟りなし。こんな世の中で自分に出来ることは何なのか?少しの勇気で世界を、人を、救えるのに…。
清を中心に幸助たち4人はヒーロー気取りで人助けをしていた。そんな清が突然の引越し。それから10年―。幸助たち3人は見て見ぬフリをする高校生活を送っていた。そんな時、清の死を知る。幸助たちはどうするのか…。
『僕がキミに出来ること』/ 山崎都世子(大阪府)/ 20'00"
【作品解説】
「海で逢えると信じていた…。」少年は人魚になりたかった。少女は彼のために少年になった。お盆の時期のほんの少しの時間だけ亡くなった人たちの精霊が帰ってくる。若い人たちには馴染みの薄いお盆の風習などを裏設定に置きました。アイス棒の焚き火を「迎え火」に朝焼けの花火を「送り火」に、故人の大好きな食べ物(プリン)をお供えする。そして「なすの牛」に乗ってゆっくりあの世に戻って行く…。7月15日。短パンにTシャツ、麦わら帽子、少年のような格好をした女の子(ノリ)がアイスの棒で火を焚いている。すると貴婦人のような格好をした男の子(アキ)が海の中に入って行こうとしていた。必死で止めるノリ。叶わぬ恋だと分かっていても一途に想ってしまうことがある…。すれ違う気持ちの中で…、ゆっくりと流れる時間の中で…、キミは何を想うのか?キミは何を望むのか?そして今、僕がキミに出来ること…。
『みかとせいじゅん』/ 山岡大祐(静岡県)/ 14'30"
【作品解説】
ろう者のみかと健聴者のせいじゅんは恋人同士。デートで映画祭に出かけると、そこにせいじゅんの元彼が待ち伏せしていて、せいじゅんの取りあいになる。みかは「せいじゅんが自分のことを好きでなくても私は好きだよ」と伝え頬にキスする。
この作品はコミュニケーションについての話です。ろう者を演じた主演女優は健聴者ですが手話や仕草の特訓を重ねたり、ろう者の方にチェックしていただいて制作しました。そんな中、ろう者の方より「手話を正しくやろうということに気をとられるより本当に大事なのは自分がどうしても伝えたい感情をなんとかして伝えようとする姿勢」という助言をいただきました。音声言語だろうが手話だろうがコミュニケーションの本質は一緒。それに気づいてからは両者ともに吹っ切れました。結果、感情が全身から吹き出しているかのような真に迫った演技表現を写し取ることができました。
奨励賞
『子犬物語』/ 愛知県大府市立北山小学校映像クラブ(愛知県)/ 12'30"
【作品解説】
ある日、少女が子犬を拾います。飼い主がいないので育てようとして学校で飼いますが見つかり家に持って帰ります。ところが飼い主が現れ、かえしに行きます。落ち込んでいる姿を見た父親は大切に育てることを条件に子犬を飼うことを許します。
学校付近で撮影したので、この地域の様子がよく分かります。それにメーキングや夏休みに行った映画館訪問の映像をエンディングのクレジットタイトルに使って映像クラブの活動を紹介しています。1学期、ストーリーやコンテを子どもたちが考えることに時間がかかりました。今の子どもは夏休みも忙しく2学期まで撮影が続きました。


全国より79作品の応募がありました
審査委員長
山田洋次(映画監督)
特別審査委員
工藤雅典(映画監督)
金澤克次(映画監督)
北川篤也(映画監督)
   


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